時間にルーズな2人の営業マンAとB。あるとき2人はそれぞれ、顧客との約束の時間に遅刻してしまいました。Aは顧客を失い、Bは上司のフォローで事なきを得たものの、厳しく叱責されました。その結果、Aは大切な顧客を失ったことを深く反省し、時間厳守の鬼に変貌しました。Bは上司が怖いので、時間通りの行動を心掛けるようになりました。
Aは自身の失敗を糧にした「内発的」な変化といえ、Bは上司からの叱責を回避するための「外発的」な変化といえます。いずれもよくある話ではないでしょうか?
一般的に、人に促された変化(外発的変化)に比べて、自ら必要性を感じて取り組んだ変化(内発的変化)の方がよく身に付くといわれます。しかし変化するのなら、どちらも結局は同じことなのです。変化に対して積極的になれるかどうかの違いでしかありません。
変化を受け入れて、その先の未来へ
現代も技術革新に伴って、変化は待ったなしに押し寄せてきます。例えば手作業で処理していた仕事がパソコン作業に置き換わり、オフィスワークはパソコンスキルを前提としたものに変化していきました。それでも導入期にはさまざまな葛藤があったはずで、反発して従来のやり方に固執する人、新しい方法を積極的に学ぶ人、いろんな考えがありながらも大筋で変化を受け入れ、順応し、発展させてきたのです。誰もその流れにはあらがえません。「内発」も「外発」もなく、ただ変化を受け入れるのみです。
そして社会情勢の変化に対しても、私たちに拒否権はありません。自然環境が変わる、生活様式が変わる、生活習慣が変わる、そして価値観が変わる。このような変化は、人が生きている限り不可避なもの。どんなに理不尽であっても、その状況下で最善を尽くすしかないのです。
変化とは常に不可逆性をもって進行するものです。もはやパソコンのない時代には戻れないように、一度起きた変化をなかったことにはできません。それならば、変化によって得たものと失われたものを冷静に受け止め、取捨選択した上で次の一歩を踏み出すことが、未来志向の生き方といえるでしょう。